育児支援しています!!

エキスパートの視点


私たちの法人では、子どもに係る知識をお持ちの異業種の方から、現代の子どもの事、子どもの周りの環境、子どもと大人との関係等々を学び取り、改めて子ども、大人、社会との関係を根底から見つめ直し、日々の仕事に役立てる事を目的として月例研修会を開催しています。
そして、講師をしてくださったその道の「エクスパートの視点」は、育児や子育て実践中のお母様方にも、大いに役立つ情報だと考えていますので、ここでご紹介していきます。

目次 (講演をして頂いた順にご紹介しています)
1 藤原 卓 教授 (長崎大学大学院医歯薬学総合研究科)
藤原卓教授 講演の様子第一回は 長崎大学小児歯科学講座 教授 藤原 卓(たく) 先生に講演を依頼しました。
先生は「日本外来小児科学会」という小児科の先生たちの集まりに「小児歯科」を紹介する仕事に浜野と共に携わっていらっしゃいます。
今回は先生の豊富な研究データから「母乳とムシ歯の原点をさぐる」お話をしていただきました。その内容をかいつまんで紹介しますと、



< 虫歯ができるまで >
☆ 「う蝕(虫歯)は『発症まで時間がかかる』感染症」であり、現在できている虫歯は最近磨いていないからではなく、半年から1年前のお口の環境に原因があります。つまり虫歯は生活習慣病と捉えることが重要なポイントです。

☆ 虫歯の原因菌がつきとめられたのは1960年頃で、ミュータンスレンサ球菌と呼ばれています。このミュータンスレンサ球菌が口の中に多いほど虫歯もできやすいのです。

☆ 虫歯ができるのは、
@ 歯の表面にミュータンスレンサ球菌が吸い着く(強い力ではない)
A 菌の酵素が砂糖を分解し、粘着性のデンプンのりのようなものを作って強固に歯にくっつき、周りの細菌もからめてプラーク(歯垢、歯(は)糞(くそ))をつくる
B プラークの中で細菌が代謝産物(動物でいう排泄物)として「酸」を出し、歯のカルシウムが溶ける(脱灰)=虫歯となります。

☆ ちなみにプラーク1グラム中に細菌は1千億個(10の11乗)いて、それはウンチ中の細菌の数とほぼ同じだそうです(もちろん細菌の種類は違いますが)。



< 虫歯の予防 >
☆ 最も虫歯になりやすい食品は砂糖が入って粘着性があるキャラメルです。ウーロン茶はポリフェノールを含んでいるため、虫歯の発生を抑える効果があるそうです。

☆ 虫歯を予防するには、
@ 砂糖の摂取を減らすか代用品に置き換えて、プラークが作られないようにする

A (発酵性)炭水化物摂取の回数を減らす おやつをダラダラ食べない
B 歯磨きをしてプラークを取り除くことが大事になります。

☆ 意外かもしれませんが、ミュータンスレンサ球菌は歯にくっつくので、歯が生えていない赤ちゃんの口の中には存在しません。歯にくっついて棲みつく(定着といいます)のは1才6ヶ月頃から3才0ヶ月頃です。これは乳歯の奥歯が生えてきて歯の溝など棲みつく場所が増えて、しかも離乳食から大人と同じ食事ができるようになり砂糖が入ってくるからです。この時期を感染させずにやり過ごせれば、後で感染したとしても虫歯ができにくいことがわかっています。3、4才までを虫歯ゼロで過ごせれば、その後も虫歯ができにくいお口になるのです。

☆ 多くの場合、ミュータンスレンサ球菌は母親の唾液から感染します。やはり育児で子供に触れる時間が長いのは母親なのです。ですから
@ブラッシングして母親の口の中をきれいに保つ
A可能ならば母親の虫歯を治療して母親のミュータンスレンサ球菌の数を減らすことが子供の虫歯予防につながります。子供に虫歯を作らせないためには、まず母親のケアが大事なのです。


☆ 母親から感染させないために、歯が生えてからは『咬み与え』だけはしないよう指導されています。どんなに気をつけても、例えばお友達がなめたおもちゃを口に入れるなどしていずれは感染するので、自宅のおはしやスプーンを別にしたり、食器を消毒したりする必要はありません。感染したらすぐに虫歯になるわけではなく、定着してある程度菌の数が増えないと虫歯はできないのです。

☆ 子供は甘いものが大好きですが、早くから甘い味を覚えさせないことも大事で、少なくとも乳歯が生えそろう3才過ぎまでは、母親が食事の内容をコントロールできますので、気をつけることができます。また『甘えん坊にしない』欲しがるから、泣かれると困るからといってダラダラおやつを与えると虫歯ができてしまいます。



< 母乳と虫歯 >
母乳だけならば(母乳の糖は乳糖なので)虫歯はできないのです。ところが、砂糖を含んだ他の食事もしていていったんプラークが作られてしまうと、その中の細菌は砂糖だけでなく様々な糖を代謝するので、その結果酸が産生されて虫歯ができてしまいます。

☆ 卒乳(授乳を止める)が遅くなるほど、また寝る前に飲ませるよりも寝ながら母乳を飲ませるほど虫歯ができやすいという調査結果があります。母乳が虫歯の原因ではありませんが、母乳の長期摂取は、できてしまった虫歯を重症化させることがあります。離乳食や大人の食べ物を食べて砂糖がお口の中に存在し、その結果プラークができて虫歯ができているところに母乳を長期間与えると、プラークの中のミュータンスレンサ球菌や他の菌の栄養源になってしまい、虫歯が一気に拡がることになるのです。ですから、子供の口の中をきれいにしておく、寝かせながらダラダラと与えない、などに気をつけると共に、我々小児歯科医と一緒にお口のケアを行っていけば、母乳を長期に与えても虫歯をつくらせないことは十分可能です。
(近藤)
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